399. 広島

満を持して、筆者の第二の故郷、広島である。大学時代から10年間を過ごし、広島生まれのかみさんと結婚もした。

これまでに、広島の妖怪については何回も取り上げた。まずはなんと言っても三次の『稲生物怪録』。〈もののけミュージアム〉は今年、2025年で6年目となる。猿猴は猿候川や廿日市玖島の河童である。江波や湯来越峠のおさん狐。鷹野橋のバタバタ。五日市に落ちて来た雷獣。山県郡のシイ。忘れてはならない比婆山のヒバゴン

さて、これ以外にも、もちろん多くの妖怪が広島にはいる。

まず、蛇系の筆頭は、現在の安佐南区と安佐北区に跨る阿武山にいたという大蛇。『陰徳太平記』に載る。八つの丘と八つの谷にまたがるとんでもない大きさ! 火炎も吐き、人々を苦しめていたが、1532年香川勝雄により退治された。太刀ノブ・蛇王子・蛇大池等の地名が残る。一方、『本郷の昔話』にある豊田郡南方村の大蛇は七寸と大して大きくはないばかりか、非常におとなしく人々にいじられ死んでしまったという。角と牙は三原の殿様に献上された。仁方白岳の山しばは、黒く光沢があり、人を追いかけてくる。ツチノコに似ている。比婆郡東城の忠右衛門蛇は極悪人の忠右衛門と彼が殺した母親がなったという、双頭の蛇だ。

比婆郡には他にも、歩いていると後ろから覆いかぶさってくるおいがかりもいる。尾道の土堂町の蔵では小豆とりの狸がシャリシャリと音を立てる。賀茂郡八本松の藪からは、ガチャガチャと音を立て土瓶が転がってくる土瓶転がしが出る。ゲドウは三次の憑き物で、足の短い茶褐色の動物だという。台所や納屋の下で小豆飯を餌として飼い、飼い主にだけ姿が見える。家を繁栄させるが、傾くと他のものに憑くという座敷わらし的な性質。沼田楠木村の黒雲の喝は不徳の樵の女房を天から戒めた異形。1875年の『東京日日新聞』に載った。

前に書いた竹原の神使ヤブに似たのが、坂小屋浦のマッカ。祭りに長い竹の棒を持ち現れる。尾道のベッチャー鬼もこのタイプ。武悪面のベタ、女大蛇のソバ天狗ショーキがいる。

怪火系では、宮島の龍火のほかに、御調のたくろう火がある。

幽霊系では、毛利氏と陶氏の戦った、廿日市宮内の古戦場に白馬の幽霊が出るという。心霊スポットとしては、己斐峠や魚切ダムが有名。

さて、絵に描いたのは、ゾンビの回でも紹介した、横川のハロウィンイベントゾンビナイトの実際のチラシだ。2015年にスタートしたんだから、早10年か! ゾンビだけにコロナも乗り越えたらしい。回を追うごとに、ゾンビ電車ゾンビ飯ゾンビソングゾンビ御朱印…と、パワーアップしていっている! あ〜いつか行ってみたいの〜!!

二十三夜横川三丁目でゾンビやりをり風来松