白。あらゆる光の波長を一様に反射する物体を見た人が知覚する色。自然界の中では、雪・雲・塩・石英や石灰の砂浜等が白く見える。100%の反射を持った白色は存在しない。2019年〈パデュー大学〉で開発された、太陽光98.1%を反射しする硫酸バリウムを含む塗料がギネス記録。
西洋でWhiteは、「善意」・「純粋」を象徴する一方、「死」・「病」・「幽霊」等、負のイメージもある。
中国では、〈五行思想〉で白は金に対応。方位は西。守護する神獣は白虎。ただ、服の色は、吉色の赤に対して、凶色とされる。ヒンドゥー教等でも、「死」・「葬」・「不吉」。
日本では、白は古代より神聖で、最高位の色とされ、白衣を着られるのは天皇のみだった。『古事記』では神は、白い鹿や狼に姿を変え、日本武尊は死後、白鳥になった。飛鳥時代か、平安時代にかけては、白い動物の発見を瑞兆として、見つかる度に何度も改元が行なわれた。650年の元号はそのまんま〈白雉〉! 現代でも、山口岩国の白蛇は神使として祀られている。茨城・高知・奈良・富山…でも同様。
北海道鹿追町には、飢饉を救った白蛇姫かいる。
白うねりは、古布巾付喪神。竜の様な姿が『百器徒然袋』に載る。
白坊主は全国各地に様々な形で各地に伝わる。静岡富士宮では、毎年とんど焼きの日に「ほーい、ほーい」とこれの声がする為、とんど自体を中止している。大阪では狸の化けたのっぺらぼう、広島倉橋では獺、和歌山九度山では滝で死んだ者の霊が正体と言われる。熊本天草本渡では、白坊主の母親がクスノキの中にから子の着物を紡ぐ音を立てる。
狂言『狐釣』でも知られる白蔵主は、大阪和泉の僧の拾った白狐。占いをしたり、泥棒を追い返したりしたが、僧のおいしに鼠の天麩羅で釣られた。狐といえば、白面金毛九尾狐もいる。
絵に描いたのは白澤。『今昔百鬼拾遺』には牛のような体に、九つの目がある。中国最古の王・黄帝が出会い、これの話を聞き取り妖怪事典と言える『白澤図』を作った。白澤は人語を解し、万物の知識に精通するという。その画図は魔除けとされ、1858年のコレラの大流行時に大量に出回った。
創作で白といえば、『指輪物語』の白のガンダルフ、『終わらざりし物語』にも第1紀のエルフが、「白い悪魔」と呼ばれた。そして、『ガンバの冒険』の白イタチノロイは筆者の三大トラウマの一つ…!
短夜や白澤百をかく語り風来松