一つ目小僧。一つ目の小坊主姿。豆富小僧も、一つ目という話もある。坊主姿というのは、比叡山十八代座主・良源の化身一眼一足法師からか。一つ目入道も同様かと思われる。入道話は多く、和歌山・日高では籠から現れ人を襲った。岡山・久米では長い舌で人を舐めた。関東では事八日(2月28日と12月8日)に箕借り婆と共に里に下りて来て、家々の落ち度を疫病神に知らせるとも言われる。家々には、これの一つ目を刺す柊が飾られる。
他にも、肥後の一つ目八幡、土佐の山爺等、一つ目の妖怪は多い。妖怪以外にも、宮崎の御手洗池には、木花咲耶姫の落とした玉の緒により片目になった鮒が。伊予松山の山越にも、弘法大師が助けたという片目鮒がいる。片目の鯉・蛇・イモリ…等の話も各地にある。
柳田國男は、一つ目小僧は山の神の零落した姿だとする。また、〈たたら製鉄〉に従事する者に片目を失う職業病がある事から、彼らの信仰する天目一箇神(アマノマヒトツノカミ)との関連も指摘している。『日本書紀』等に登場する鍛冶の神で、火男(ひょっとこ)の原型とも。和歌山の一本だたら、だいだらぼっちもこれに関連している一つ目だと考えられる。
外国においても、有名な『ギリシャ神話』の一つ目巨人、サイクロプス=キュクロープスも、優れた鍛冶師だ。ただ、民俗学者ネリー・ナウマンは〈たたら〉以前から一つ目は存在していたと言い、『アステカ神話』では、雨乞い・風・火に関する事が多いとしている。
スコットランドにも一つ目巨人のファハンが。『北欧神話』のオーディーンも、知恵を得るために片目をミーミルの泉に捧げた。
そういえば、鬼太郎も隻眼。昔は、片目は目玉おやじだと思っていた。
さて、先天的に一つ目の生物も存在する。その中の一つが、絵に描いた〈ミジンコ〉! 正岡子規のように横顔でしか見かけないが、まさかの一つ目だったとは!
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