143. サードマン

死と隣り合わせなレベルの外傷的体験下に現れ支え、安心をもたらすことにより、生還へ導く見えない存在。

サードマン現象や、サードマン症候群とも呼ばれ、守護天使イマジナリーフレンド、科学的にはコーピングや、二分心との関連が言われている。

アーネスト・シャクルトンが、『エンデュアランス号漂流記』でも記述。登山家ピーター・ヒラリーや、単独無酸素登山のラインホルト・メスナーもサードマンを見ている。

探検家角幡唯介は、単に危機的状況に陥るだけでは現れず、雪山や極地のような、自然環境も行動も単調な事が条件ではと推測している。

2014年出版、ジョン・カイザー著『サードマン 奇跡の生還へ導く人』で、その存在が広く知られるようになった。

詩人T・S・エリオットは、シャクルトンの体験をモチーフに次ような詩を書いた。

いつも君のそばを歩いている第三の人は誰だ?
数えてみるときみとぼくしかいない
けれど白い道の先を見ると
いつもきみのそばを歩くもう一人がいる
フードのついた茶色のマントに身を包み
音もなく行く 男か女かもわからない
ーだが、君の隣にいるのは誰だ?

冬野行く数えられざる三人目風来松