51. から傘小僧

最も有名な妖怪の一。

から傘お化け傘一本足とも。

傘の体に、一つ目、一本足、長い舌。

古くは室町時代『百鬼夜行絵巻』に載るが、姿形は畳んだ傘を頭に被った人型。おそらく、これを元に描かれた江戸時代の鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』も同様の姿。解説に、『中国、雨の神雨師に仕える侍童雨小僧』とある。

ただ、やはり江戸時代以降は、一つ目、一本足がほとんど。描いたのも歌川芳員の『百種怪談妖物双六』より。黄表紙『御存之化物』にも『雨の日に、竹の笠を被った一つ目の傘小僧が両手に何かを持って歩み寄った。』とある。

そもそも、からかさとは、頭に直にかぶる笠に対して、柄の付いた舶来の傘。525年百済からの使者により伝わった際は、仏具だった。その後、独自に開閉式に改良がなされた。なので由来は、唐からとも、カラクリからとも...。当時は貴族のものだったが、漸く江戸の頃になり庶民にも広まった。因みに、蛇の目は魔除けの意味があるが、ジャノメミシンはボビンから。

新潟県笹神村三十刈に出たカラカサバケモン。『東北怪談の旅』にある、岩手県閉伊群仙人峠で、狐に頼まれ狐の嫁入りに雨を降らせた傘おばけ。奈良県興福寺の七妖怪の一、東花坊主のからかさ...。

ただ、伝承等はその程度で、絵画上の妖怪とも言われる。付喪神という説もあるが...。

まぁ、由来や伝承もろくにない、他愛のない妖怪というのも、また味がある。俳句に含まれる諧謔と相通じるものもあると思う。

傘も化けて目のある月夜哉与謝蕪村