13. 河童

水中に棲み、子供位の大きさ、肌は緑や赤、背中に甲羅、頭に皿。嘴のような口、手には水かき、短い尾に、肛門は三つ。手は中で繋がっていて抜ける。きゅうりと相撲が好きで、鉄と鹿の角と猿が苦手。人に悪戯をし、水に引き込み尻子玉を抜く。懲らしめられた後、助けられた礼に魚を取ってきたり、〈河童の妙薬〉を教えたりする。

これが、江戸時代頃に固まり今も残る河童のイメージだ。元々あった獺や亀から来たと思われる各地の水辺の妖怪と、中国から伝わってきた水虎水唐水盧とが融合して出来上がった。ちなみに『西遊記』の沙悟浄河童姿は日本オリジナル...。後に東日本では、安倍晴明の式神が、西日本では役小角の護法童子の人形が、河童になったと言われる。

全国に様々な呼び名があり、近畿・九州のかわっぱ、肥前・肥後・日向のがわっぱ、薩摩のがらっば、安芸のがたろ。『和漢三才図会』・『甲子夜話』には川太郎が。川小僧川童子とも。中四国では猿猴。南九州のひょうすぼ、アイヌのミンツチも、これの一種と思われる。『日本書紀』 にある少童は、イザナギノミコトカグツチを斬った血から生まれた海神だが、これも河童だと言われる。

稀に、海に棲む海童もいるとされ、また山童セコシバテンは、秋になり山に登った河童だとも言う。

九千坊は、中国から海を渡って熊本県八代にやって来た九千匹の河童の頭領。球磨川を遡り肥後国に住み着いたが、加藤清正と九州猿軍団に敗れ、福岡県久留米の筑後川に移って、水天宮の使いになったという。今も河童を祀る〈オレオレデーライタ川まつり〉が行われる。

九州は河童の本場という感があり、熊本県天草五和にも河童の総大将荒川弾正がおり、大分県耶馬渓には〈河童楽〉という河童封じの神事が。佐賀県の松原神社の〈カッパまつり〉では、平家の落人が河童になったと伝わる。同県の〈松浦一酒酒造〉には、有名な河童のミイラがある。福岡県の北野天満宮にも菅原道真を暗殺から救ったという河童の大将の手のミイラが祀られている。九州の河童は音真似も得意で、落石・倒木・発破音、そして人の歌も歌うが、よく聴くと人間の言葉にはなっていないという。

絵は懐かしの〈黄桜酒造〉のCMでお馴染みの河童! 清水崑が『週刊朝日』に連載していた『河童天国』が元。〈かっぱえびせん〉もここから取られている!

河童の恋する宿や夏の月与謝蕪村